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「あるがままを愛するために」

​movement 9 / picture・TAKEO Uka

 

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photo・竹尾宇加 TAKEO Uka

host & subject・瀧澤綾音 TAKIZAWA Ayane

 

many thanks to

​木村奈緒 KIMURA Nao

​「あなたのまなざし」
人はそれぞれの世界を見ている。
偶然の位置やその人との関係性、そして記憶・経験からくる思考や感情。
私は、それぞれの人生があることが不思議で、ひとりの人間の営みのかけがえなさを思い、愛おしく思います。
あなたの世界に少しでもふれてみたい。そんなひそやかな幸せにお付き合いいただきました。

竹尾宇加さんのお気に入りの一枚

竹尾宇加さんのまなざし

瀧澤綾音さんへ

 

こんにちは。

作品発表までの流れを振り返りたいなと思い、瀧澤さんと自分自身に向けて文章を書いてます。

LINEのやり取りを見返してたら、「あるがままを愛するために」に絵を提供してほしいと、お話をもらったのが2022年の10月頃で、話をもらってからすぐに、表参道のレストランで打ち合わせしたね。瀧澤さんと話をしているうちに、瀧澤さんをモデルに絵を描いて発表しようっていう流れになって。で、2022年の12月に私の家に来てもらってモデルをしてもらった。

あの日は絵を描く以外にも一緒にヨガをやったり、夜はお酒を飲んだりしたね。今思えば長い1日だったな。それで後日何枚か絵を描いて、描き終わったのはもう去年の2023年2月。だけど、瀧澤さんも私もバタバタしていてなかなか時間が合わなくて。

今、やっとこうやって発表できるタイミングが来たのかなと思っています。

 

この一年ちょっとは私自身も色々と変化があったように思う。生活自体はそんなに変わってはいないんだけど、内面の変化って言うのかな。瀧澤さんから絵を依頼してもらった時期は、世の中がもうそろそろコロナ禍から抜け出せるって時で、それと共に自分のこれからの生活をどうしていこうか考えてた。

コロナが流行り始めた2019年12月頃、私は海外留学を控えていて。と言うのも続けていた仕事とか創作活動に行き詰まっていて。一旦全部をリセットしたいなと思って。まぁ今から思えば完全に現実逃避なんだけど。でもコロナで留学が出来なくなってしまって、どうしたらいいんだろうってなっちゃって。

とりあえず、仕事は続けていたけれどなんだか一人で悶々としていて。で、少し時間が欲しくて我儘言って仕事の雇用形態を変えてもらって自分のペースで仕事ができるようにしたの。そうしたら、自分と向き合う時間が出来て。自分の中に少しゆとりが出来始めた。そのタイミングで瀧澤さんから制作の話をもらったんだ。

 

今、私は建築の専門学校に通っていて来年は建築士の資格試験を受験する予定です。私は25歳くらいからずっと内装設計の仕事に関わっているんだけど、興味のある仕事をしているはずだし嫌々やっていたわけではなかったんだけど、なんだかずっとこの仕事を一生やっていく、みたいな覚悟がなくて長い間ぼんやりとしたまま仕事を続けていた。

でも続けていたら自分でも気がつかないうちに信頼関係とか私を頼って仕事をくれる人とががぽつりぽつりといてくれてることに気が付いて。10年経ってようやく、あ、私はこの仕事で生きていくんだな。と言う気持ちになってきたんだ。遅いかもだけど。だから資格を取ってこれからもこの仕事を続けていこうって思ってる。今のところはだけどね、、笑

 

自分の中で気持ちに少し余白が出てきて、今だったら1年前に書いた絵を外に出してもいいかなって思えた。私たちはずっと生きている渦中だし、ぼんやりとした悩みとか不安を抱えながら生活を続けている。少し前の私はこの不安とか悩みを消し去りたいって奮闘していた気がする。でも、そんなぼんやりとした気持ちを持ったまま毎日を生きていくのもありかもね。

また一緒に何か創れたら良いね。その時はまたよろしくお願いします。

                                      竹尾 宇加

                                      2024.05.27

 

<プロフィール>

竹尾宇加 

1988年、東京生まれ。現在は二級建築士の取得を目指し勉強中。

10年ほど内装設計の仕事に携わっており、それと並行して絵画制作を行なっている。

今年8月に久しぶりの個展を開催する予定。

趣味はヨガ。

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木村奈緒さんお気に入りの一枚

木村奈緒さんのまなざし

<写真を選んだ理由>

いつだったか、竹尾さんがこの絵(今回選んだ絵とまったく同じかはわからないが、同じ構図のもの)をインスタにアップしていて、見てすぐに「これは瀧澤さんだな」と思った。似顔絵のように顔が描かれているわけではないが、たたずまいが私の知っている瀧澤さんだった。ゆったりしているようでいて、芯がある。流れる水のようでいて、炎のように熱い。爽やかな風のようでいて、真夏の陽射しのようにまぶしい。瀧澤さんは、そんな両極を体の中に抱えている人だ(と思っている)。この絵の瀧澤さんも、優雅に椅子に腰掛けているようでもあり、何かから身を守っているようでもある。キャンバスに降り注ぐ光が、そんな瀧澤さんを優しく強く肯定している気がして、この一枚を選んだ。

<「あるがまま」と「愛」について>

「あるがままでいよう」「あるがままを愛そう」と言葉にした瞬間に、「あるがまま」を意識してしまって「あるがまま」でいられないような難しさがあると思う。だから瀧澤さんが取り組んでいる「あるがままを愛するために」は、すごく難しい試みだと思う。でも、瀧澤さんがこのプロジェクトをやろうと思い立ち、お金のことや時間のことなど、様々なことに苦心しながら相手とのやり取りを重ね、ひとつひとつ形にしてきたこと。その全部が「瀧澤綾音」そのもので、それが誰に見られようと見られまいと、瀧澤さんの存在は揺るがない。そうやって全身でもがきながら今日を生きている瀧澤さんが格好よくて、愛おしい。

<プロフィール>

​木村奈緒

主に人の話を聞いて文章にしています。その他に美学校スタッフ、編集、各種企画など。

母親である女性のインタビュー・ポートレイト「声をさがして」

「わたしたちのJR福知山線脱線事故ー事故から10年」展

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